「社会保険完備の就職先を探したほうがいいよ」と、親や先生から薦められた経験はないでしょうか?保険のことってわかっていそうで、実は詳しくは知らない…という方は多いと思います。また、種類も様々あってややこしいと思うので、今回はそれぞれの保険の違いについて、基本情報をお伝えしていきます。
そもそも「社会保険」とは?
社会保険は社会保障の一部を指し、突然降りかかる病気やケガなどから私たちを守ってくれるシステムです。一人ではどうしようもないことを、国民や国がお金を出し合って解決するために運営されています。
加入先は大きく「国」または「組合」の2つに分かれ、どこが運営する保険に加入するかで、支払う金額が変わってきます。
健康保険
病院などにかかる時に健康保険証を提示していると思いますが、これは健康保険に加入している証拠です。毎月保険料を支払っている代わりに、多くの治療を本来かかる費用の3割の金額で受けることができます。
<国民健康保険>
各自治体(国)が運営しており、加入・脱退をする場合は市役所・区役所などに届出に行きます。この後紹介する社会保険、または美容師保険に加入していない美容室は、この国民健康保険に加入しています。保険料は、各自治体から届くお知らせに従って自分で支払います。
<社会保険>
美容室が法人化されている場合、社会保険というくくりの中の健康保険に加入していることがあります。社会保険の大きな特徴は、かかる保険料の半分を会社(美容室)が負担してくれることです。基本的に保険料は、給料から自動的に引かれます。
<美容師保険>
東京都か大阪府に職場があり、個人経営の美容室で働いている方だけが入れる健康保険です。この保険の大きな特徴は給料がいくらでも保険料が一律という点です。
年金
日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入している年金で、決まった年数払い続ければ、65歳以降に毎月老齢年金をもらえます。
<国民年金>
全ての国民に支払い義務がある年金です。「国民健康保険」に入っている人はそれと合わせて、自分で払います。料金は全国一律で16,590円(令和4年度)となっています。
<厚生年金>
国民年金に加え、企業の社会保険に入っている人は厚生年金を払います。国民年金にしか加入していない人に比べ、厚生年金に加入していれば受け取れる年金の額が多くなります。支給される額は、加入していた期間だけでなく、現役時代にどれだけの収入を得ていたかによって決まるので、現役時代にたくさんの収入を得ていた人は、基本的に支給される年金額も多くなります。
労働保険
労災保険と雇用保険を総称した言葉です。従業員を一人でも雇用していれば、労働保険の適用対象となります。
<労災保険>
業務中、通勤中に怪我をしたり障害を負ったり死亡した場合に、本人または家族に決まった補償が行われます。保険料は、全額事業主(美容室)負担で、正社員だけでなく、パート・アルバイト等雇用形態に関わらず全員が保険の適用を受けることができます。
<雇用保険>
「週に20時間以上働く人」「31日以上雇われる見込みのある人」は、雇用保険に入る義務があります。失業手当が代表的な給付ですが、雇用保険に入っていると「育児休業給付」や離職後の「傷病手当」など様々な給付が受けられます。保険料は美容室とスタッフ双方の負担でまかなっており、スタッフの負担率は5/1000です。(月給が20万円の場合…20万円×0.005=保険料1,000円)
まとめ
今回は社会保険についてお伝えしましたが、中には社会保険完備をしていない美容室もあります。また、地域によって保険料が異なる場合もあるので、就職先として視野に入れている美容室の制度はどうなっているのか、しっかり確認するようにしましょう!